天岩戸神話とは?あらすじと意味をわかりやすく解説
天岩戸神話は、日本神話の中でも最も有名な物語の一つです。
太陽神である天照大神が岩戸に隠れ、世界が闇に包まれるという神話で、古事記・日本書紀に記されています。
ここでは、そのあらすじと『ほつまつたゑ』との違いを解説します。
天岩戸神話のあらすじ(古事記・日本書紀)
① スサノオの乱暴
高天原にやって来たスサノオは、次第に乱暴な振る舞いをするようになります。
田畑を荒らし、神々の働きを妨げ、さらに神聖な織殿に皮を剥いだ馬を投げ込むという事件まで起こします。
この騒ぎによって織女が驚き、命を落としてしまいました。高天原は大きな混乱に包まれます。
② 天照大神が岩戸に隠れる
この出来事に深く心を痛めた天照大神は、ついに天岩戸と呼ばれる洞窟に身を隠してしまいます。
太陽神である天照大神が姿を隠したことで、世界から光が失われることになります。
③ 世界が闇になる
天照大神が岩戸に閉じこもると、天地はたちまち闇に覆われました。
太陽の光が失われたため、昼と夜の区別もなくなり、世界は混乱します。
闇に乗じて悪しき神々も現れ、世の中はますます不安に包まれていきました。
④ 神々の会議
この危機に対して、高天原の神々は集まり、どうすれば天照大神に岩戸から出てもらえるのかを相談します。
知恵者として知られる思金神が中心となり、さまざまな策が考えられました。
鏡や勾玉を用い、岩戸の前で祭りを行うという作戦が決まります。
⑤ 岩戸の前の祭り
神々は岩戸の前に集まり、大きな祭りを始めます。
その中で天宇受売命が舞い踊り、神々は大声で笑い始めました。
本来なら闇に包まれているはずの世界で、なぜか楽しげな騒ぎが起きているのです。
⑥ 天照大神が顔を出す
岩戸の中にいた天照大神は、この騒ぎを不思議に思います。
自分が隠れたことで世界は闇に包まれているはずなのに、なぜ神々は楽しそうにしているのか。
その理由が気になり、岩戸を少しだけ開いて外をのぞきました。
そのとき、岩戸の前に置かれていた鏡に自分の姿が映ります。
天照大神は思わずその光景に目を留めました。
⑦ 岩戸が開く
その瞬間、待ち構えていた力持ちの神、天手力男神(あめのたぢからおのかみ)が岩戸を引き開きます。
こうして天照大神は再び外の世界に姿を現しました。
再び太陽の光が世界を照らし、闇に包まれていた天地は元の姿を取り戻します。
神々も人々も安堵し、世界には再び秩序と平和が戻りました。
『ほつまつたゑ』の天岩戸神話
おおむね『天岩戸』での流れは同じです。ですが、その前後が当然詳細に記されています。
ここでは端的に説明させて頂きます。
※『ほつまつたゑ』ではスサノオ(素戔嗚尊/建速須佐之男命)はソサノオといいます。
①ソサノオの恋が破れる。
②ソサノオは、天照大神の十二妃モチコ・ハヤコ姉妹と不倫関係になる。
③不倫が発覚し、モチコ・ハヤコ姉妹は宮中を追い出されることになる。不満を抱いたソサノオは、剣を抜き抗議に向かおうとする。
④ソサノオとハヤコの企みを、天照大神の正后・瀬織津姫の妹ハナコが目撃し、姉の瀬織津姫に報告する。
⑤瀬織津姫は、モチコ・ハヤコ姉妹に筑紫(九州)への蟄居(ちっきょ)を命じる。
⑥慰めてくれていたモチコ・ハヤコ姉妹を失い、ソサノオは荒れた日々を送る。
⑦ある日、ソサノオはイタズラで神衣を織る斎服殿に、ぶちコマ(まだら模様の死んだ仔馬)を投げ込む。驚いた瀬織津姫の妹ハナコは、瀕死の重傷を負う。
⑧これに対し、めずらしく天照大神が怒り、ソサノオに歌で道を示す。
⑨しかしソサノオは、さらに怒りを強める。
⑩世に害がおよぶことを恐れた天照大神は、天の岩戸に籠る。
⑪困った神々は困窮を訴えるが、岩戸は開かない。
⑫知恵者ヲモイカネは、それまでとは逆の策を提案する。
つまり「困っています」「助けてください」と訴えるのではなく、楽しく騒いで天照大神の気を引こうとする。
⑬その計略は成功する。天照大神が岩戸をわずかに開いた瞬間、待ち構えていたタチカラオが岩戸を一気に投げ開き、ついに天照大神がお出ましになる。
天岩戸神話の本当の姿
天岩戸神話は、日本神話の中でも特に有名な物語です。
しかしその内容は、古事記・日本書紀と原書といわれる『ほつまつたゑ』では大きく異なっています。
ここでは、その違いの中でも特に重要と思われる二つの点を取り上げます。
① アメノウズメ(天細女命)への冒涜
古事記では、天宇受売命が天岩戸の前で胸をさらけ出し、裳の紐を下げて踊ったと記されています。
しかし『ほつまつたゑ』では、そのような行為は天岩戸の場面には登場しません。
『ほつまつたゑ』によれば、この描写は本来、天細女命がニニキネの御幸の途中でサルタヒコに出会った際、狂気の女性を演じた場面のものです。日本書紀にもこれに近い記述があります。
つまり古事記では、この逸話が天岩戸神話に移され、天宇受売命の踊りとして語られるようになったものと思われます。
② 中臣氏(なかとみ)と忌部氏(いんべ)の権力争い
古事記の天岩戸神話には、後世の政治的事情による改変が含まれている可能性があります。
古事記の編纂に関わったとされる稗田阿礼は、天細女命を祖神とする猿女君氏の一族と伝えられており、祖神である天細女命の活躍を強調するため、他の逸話が取り入れられた可能性があります。
また古事記では、天児屋根命(アメノコヤネ)や太玉命(布刀玉命)が岩戸の場面で重要な役割を担うとされていますが、『ほつまつたゑ』にはそのような記述はありません。さらに、これらの神々は本来、天岩戸神話の時代より後の人物とされており、登場するのは不自然です。
天児屋根命は中臣氏の祖神、太玉命は忌部氏の祖神であり、当時の朝廷では祭祀権をめぐって両氏が争っていました。
そのため、古事記・日本書紀の編纂の過程で、有名な天岩戸神話に両氏の祖神を登場させることで、権威を高めようとしたのではないでしょうか。
つまり、この有名な『天岩戸神話』は、政治利用されたとみています。
天岩戸神話をマンガで読む(Kindle電子書籍・500円)
天岩戸神話は、日本神話の中でも特に有名で、印象的な物語です。
しかし、古事記・日本書紀と『ほつまつたゑ』では内容に大きな違いがあり、その背景にはさまざまな問題も見えてきます。
本書では、天岩戸神話の物語をマンガでわかりやすく描くとともに、古事記・日本書紀と『ほつまつたゑ』の違いについても解説しています。
神話の物語として楽しみながら、日本神話の奥深い世界に触れていただければ幸いです。
本書は「マンガ ほつまつたゑ」シリーズから、天岩戸神話の部分を抜き出して一冊にまとめたものです。
そのため、すでにシリーズをお読みの方には同じ内容となりますので、新たに読む必要はありません。
▶ Amazon Kindleで読む(500円)
Copyright © HIKARU KATAGATA. All Rights Reserved.